個人の特性を見える化
アセスメントの結果、被験者一人ひとりについて、以下のフレームに整理(定量・定性)しておけば、企業内の昇進、配置転換、能力開発、後継者選抜、あるいは企業間の転職、ヘッドハントなどに有用な情報として活用できます。現状、こういった個人特性を活用している企業でも「専門分野」「過去の業績」「人事考課結果」「適性診断結果」などにとどまっているものと思います。
テクニカルスキル (技術) | 専門知識 | 専門技能 |
・職務に関する専門知識 ・今まで担当した役割や業績 | ・職務で必要とされる技能 ・取得した資格 |
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マネジメントスキル(技術) | 思考面のスキル | 対人面のスキル |
・解決:問題を認識して解決する力 ・想像:自由に発想する力 ・構想:未来の目標や課題を見いだす力 ・計画:詳細な計画に落とし込む力 | ・統率:組織を主導・統率する力 ・活性:場を活性化・調整する力 ・支援:人を育て活かす力 ・多様性:人から学ぶ力 |
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マネジメント資質 (態度) | 活動性 | 人間性 |
・挑戦性 チャレンジ ・執着性 コミットメント | ・誠実性 インテグリティ ・安定性 レジリエンス |
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個人特性 | 価値観・動機 | 思考・行動様式 |
・価値観:完璧主義、平和主義、独自主義 ・動機:承認欲求、支配欲求、実現欲求 | ・行動:主導的、調整的、支援的、平和的 ・思考:論理的、感覚的、詳細的、予言的 |
総評の例
●Aさんの能力特性
解決力 | 想像力 | 構想力 | 計画力 | 統率力 | 活性力 | 支援力 | 受容力 | 挑戦性 | 執着性 | 自律性 | 安定性 |
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4 | 1 | 2 | 3 | 4 | 2 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 | 4 |
組織に忠実、上位方針を遵守しながら確実に自分の役割を果たす。決して無理はせず、自分の役割と権限の範疇で「できること」を行う。実利主義である。対人場面では、穏やかな態度を維持しながら「言うべきこと」ははっきりと言い切る。会社方針を最優先するため、「組織防衛」の立場から部下指導を行う。指導や説得はできるが、支援や共感は二の次となる。自分がリスクを背負ってまで部下の挑戦を後押ししない。自己保身のスタイルも見え隠れする。思考面では、情報の理解や状況の判断は速い。業務処理にはスピード感が窺える。「確実な成果」に意識が向かうが、「新たな挑戦」には関心が薄い。将来構想は見える範囲でとどまる。夢やロマンがない。組織マネジメントは安定するが、組織は活性化せず、新たな価値の創造に向きづらい。今後は、自分の思いをはっきり打ち出し、周囲と共創する姿勢を強化したい。
●Bさんの能力特性
解決力 | 想像力 | 構想力 | 計画力 | 統率力 | 活性力 | 支援力 | 受容力 | 挑戦性 | 執着性 | 自律性 | 安定性 |
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2 | 2 | 1 | 3 | 3 | 4 | 3 | 3 | 2 | 3 | 2 | 3 |
集団のムードメーカー、まわりを盛り立てながら成果へと向かう。未知・未経験の場面でも怯まず、能動的な行動に打って出る。小さなことは気にしない。対人場面では、相手との距離を一気に縮め、開放的雰囲気を醸成する。感情面からのアプローチも有効に使いながら、思い描く結論へと対話を進める。反面、繊細さがない。相手の感情面の配意は乏しく、言いたいことを発信しがち。じっと待つことができない。自己本位のスタンスも見え隠れする。思考面では、情報の読解まではできているが、そこからの意味付けや論理思考の技術は大きく劣る。単純な問題には直感で答えを出すが、複雑な問題は問題の全体像が掴めず、解決策に至らない。将来構想は荷が重い。意思決定の精度が低く、組織マネジメントは不安を残す。今後は、徹底して論理思考を磨きたい。「今何が起きているか」を慎重に見極める力を強化させたい。