私は、会社単位での適材適所の人材配置にとどまらず、社会単位での適材適所の人材配置を目指すべきと思います。すなわち、企業内職種間、企業内職位間、企業間、産業間における労働移動が簡単に行える社会です。成熟産業から成長産業に人材がスムーズに流れていく仕組み、誰もが自分の持ち味を十分に発揮して生き生き活躍できる社会のことです。

「企業内異動」においては、人事部や専門部署がサポートしてくれます。「企業外移動」については、人材紹介会社、ヘッドハント会社がサポートしてくれます。そして、労働者本人も市場価値を高めるために日々努力をしています。そんな社会です。

そのためには、以下のような環境が整備されないといけません。

  • 企業を超えて、産業内で「人材を評価する基準」が統一されており、公平な運用がされている
  • 各企業に認定アセッサーがいて適正な評価がされている
  • 「マイナンバーカード」のような能力証明書を個人で持ち歩いている  
  • 大学、企業、職安、人材関連企業(紹介会社、派遣会社、研修会社)で活用されている
  • キャリア開発、能力開発のプロのコーチがいる
キャリア図

働く側からすると、「職業人生を充実させたい」という欲求があります。自分の好きな分野で、自分の個性を十分に発揮しながら、自分のスタイルで働きたいという欲求を叶えていく必要があるでしょう。そのためには、自分というものをしっかりと把握する必要があります。自分の価値観や動機はどこにあるのか、自分はどういった思考スタイルや行動スタイルを持っているのか、自分の好きなことは何かといった自分の特性を把握するとともに、「どんな人材を目指すのか」といったゴールに向けた自分づくりに励む必要があります。

働く側からすると「自分把握」「自分づくり」、会社側からすると「働く場と人材のマッチング」を可能とする重要な手法がヒューマン・アセスメントではないかと思います。