リーダーが育たない日本企業の実態

株式会社クリエイティブ・ワークス代表、竹内俊樹と申します。

私は、企業に所属する社員の能力を評価したり、組織の特性を診断したり、一人ひとりの能力特性を診断することで日本企業の実態を捉えてきました。ヒューマン・アセスメントを初めて22年、評価した受講者は3万人以上、経営層や人事部に対する報告会は300回を超えました。

具体的には、能力評価を行う仕掛け(シミュレーション演習)を作り、評価を行う仕組み(評価方法と評価基準)を確立させ、集合研修形式を中心にヒューマン・アセスメントを実施してきました。「人の持つ可能性を評価する」ことにより、「人の成長」「職業人生の充実」に向けての後押しをすること、組織が成長発展するための課題やその解決策を提示すること、これらが私の役目と認識しています。

今回は、私がアセスメントを通じて感じた、日本企業の実態についてお話させていただきたいと思います。

結論から言いますと、「効率的に成果を上げるために作られている階層型組織では、個々人の専門性は高まるものの、リーダーは育たない」ということです。日本の企業は、人の好い課長、目先の成果に向けて権威を振るう部長がとても多くなっていると思います。課長が現場を盛り立て、部長が厳しく数字を管理しています。皆が「目先の成果」「現行の仕組みの活用」に意識が向いており、変革を考える異端児は組織から排斥されてしまいます。一方で、トップや人事部は「変革人材」を求めていますが、変革人材を出さないような仕組みになっていることに気づいていません。なぜでしょうか。

まず、階層型組織では、権限や職責の範囲で考え、行動します。新たなビジネスや変革を求め、権限や職責を超えて行動しようとしても、上司やまわりから「待った」がかかります。更に、年齢とともに「経験則」が確立し「習慣」で行動するようになるため、環境変化や最新技術への適応力が低下してきます。しかし、組織では上に上がるほど、「組織の変革」「ビジネスの創造」が求められます。つまり、「重要な職責を果たすだけの能力を持っていない人がポストについているという実態がある」ということです。

もう一つ、「人は財産である」「採用・教育・活用にもっとも力を入れている」といった声を聞きますが、本気になっている会社はきわめて少ないように思います。「人は大事」と声高に謳っている会社ほど「口だけ」という感じがします。社員ひとりひとりに寄り添って育成したり、キャリア形成を応援したりすることは、相当な手間とコストがかかるため、「それなり」でとどまってしまいます。結果、上司に言いなりの部下、会社にとって都合の良い社員が出来上がっています。

また、「優秀な人材を採用する」「有能な人材に育てる」と言いますが、「優秀」「有能」とは何でしょうか?このあたりが曖昧であり、担当者個々人の感覚に頼っているため、最終的には「ルールをきちんと守り、周囲と協調し、成果を確実に上げる人」に仕上がっていくものと思います。

次回は、組織の発展と個人の成長を考えた「人の採用」「人の育成」「人の活用(配置・昇格)」に向けたお話をさせて頂く予定です。