ヒューマン・アセスメントのフィードバック

ヒューマン・アセスメント実施後、フィードバック面談を実施して演習行動や演習成果の特徴を指摘します。
受講者は、面談の中で自分の実態を把握し、今後どのような能力開発を行っていくべきかを話し合っていきます。
今回は、ヒューマン・アセスメントのフィードバック面談の例をご紹介します。

Aさんの例

演習行動や演習成果の特徴をフィードバックしたのちに、「将来に向けても思考を進めるが、見える範囲内の結論にとどまり、夢やロマンがない」といった実態を伝えました。
Aさんからは「オンラインでのMBA取得講座を始めている」「他業界の10年後を考える勉強したが、身に付いていなかった」「これからは、発信力と構想力を強化していきたいが、有効な方法を教えてほしい」と相談がありました。
発信力については、人は分かり合えないという前提でコミュニケーションを行うことが大切、平田オリザさんのコミュニケーションに関する書籍が勉強になるかもしれないことを伝えました。構想力については、業界研究を行い、各々の業界の10年後を予測する訓練を行うとよいと助言しました。
情に謙虚で向学心も旺盛、将来に期待したい人材でした。

Bさんの例

Bさんは「リーダーシップがない点は認識しているが、自分は将来構想の力はあると思ってので、レポートをみて違和感を感じた」と言っていました。この点に関しては、演習ごとの成果を説明し、論理的に考察して短期的な課題解決を行っているものの、創造的な思考を発揮して将来の構想は出来ていない旨を説明しました。
説明を受けて、Bさんは「将来構想の考え方を勘違いしていた」「いままでは社長の考え方に批判的であったが、今は社長のビジョンを応援するというスタイルに変わってしまった」「ビジョンを構想する前に戦略(差別化)を考える習慣があり、将来を構想しようとしても、同質の中での競争にとどまってしまう」「周りからは『根拠を出せ』『できると思わせる計画を出せ』と言われる」と相談がありました。
この点に関しては、実現可能性を説明するのでなく、「やってみる価値がある」といった必然性を説明すればいいのではないかとアドバイスしました。「腹落ちしました」「長年研究職をしてきたため、根拠や安全性ばかり求めてきた」「ビジョンを意識していきたい」と言っていました。

Cさんの例

Cさんは「演習のどこを見て、どういうプロセスを踏んで評価をしているのか知りたい」と言っていました。そこで、一つひとつの演習行動、そこからの解釈、人物像の構築、評価への落とし込みまでのプロセスを細かく説明しました。具体的な演習行動に加えて、演習外で事務局の女性に文句を言っていたことなどを紹介すると、「そこまで見ているのですか」とびっくりしていました。ヒューマン・アセスメントに興味を持ったようでした。
「曲がったことが大嫌い」「批判的に考えて自己納得したうえで行動する」「論理的思考力は極めて高い」というプラス面と、「批判的に考えるスタイルが総じてネガティブになっている」「人の負の面を見てしまう」「環境面ではリスクに関心が向いてしまう」というマイナスの面をそれぞれ伝えました。積極的に自己開示せず、「わかってくれる人にわかってもらえばいい」というコミュニケーションも改める必要があることを伝えました。
「すべて見透かれているみたいだ」「頭の中がすっきりした」という返答でした。
「夢を語る」「周囲をハッピーにさせる」ことを心がけ、マイナスのことからプラスのことに関心を向けるようにアドバイスしました。