今回は、アセッサー養成講座の「能力評価編」第3回となります。
前回とはまた別の視点から能力についてを掘り下げて解説していきます。

アセスメントの原理原則

 まず、原点に遡って、「アセスメントの意義・目的」「アセスメントの成果物」を整理します。

アセスメントの目的

被験者(アセスメント受講者)の一人ひとりの能力を診断し、人材の有効活用及び組織の活性化を図る
※能力の診断:個々人の持つ保有能力の診断(推測と判定)
※人材の有効活用:昇進・昇格、配置転換、リーダーの選出、能力開発
※組織の活性化:組織的課題の抽出、適材・適所の検証、風土改革、制度改革

アセスメントの意義

職場では「専門知識」「上限関係」「権限関係」などが、行動や成果に大きく影響してくるが、「未知・未経験の環境」を設定し、汎用能力の保有動態を診断する
※職場行動:専門知識、権限、人脈などを総動員させる
※演習行動:専門知識、権限、人脈などが使えない状況になる

アセスメントの成果物

  • 受講者ごとの能力評価結果と人物評
  • 受講者へのフィードバック
  • 評価結果の通知、フィードバック面談・レポート、能力開発に向けた助言
  • 組織全体へのフィードバック
  • 組織の特徴、組織課題の抽出、風土や制度の改革提案、人事施策の提案

上記事項を前提とした「人材価値」の考え方

ヒューマンアセスメントでは、「専門能力」は評価せず、「汎用能力(マネジメント能力)」を評価します。なぜなら、専門能力は専門家でないと評価できないからです。では、人材の市場価値とは何でしょうか?

「市場価値=専門能力+汎用能力」

という考えなのでしょうが、ここで注意すべきは「社会から求められている知識・技能」ということが条件になるでしょう。すなわち、

「市場価値=専門能力(社会から求められている知識・技能)+汎用能力(どの会社でも通用する高度な能力)」

ということがいえるでしょう。

新卒採用の時は、「汎用能力」を中心に診断して、採否を決めます。
中途採用の時は、「専門能力」を中心に診断して、採否を決める場合が多くなっています。
ただし、「専門能力」を見誤ってしまうと、無駄な投資になってしまいますから、注意が必要です。
専門能力➀ 洗濯機に関する知識(設計/製造)
専門能力➁ AIに関する知識(動作解析診断/文章からの能力診断)
専門能力③ 感染症に関する知識、感染予測に関するデータ解析

結局、専門能力とは
1.どの会社でも求められる高度な知識・技能:弁護士資格など
2.時代、会社の戦略によって価値が変わる知識・技能:感染症の知識など
に分かれます。

専門能力×汎用能力から仕事価値を分類

能力評価に関しての最大の注意事項

人の評価にはいろいろとあります。

  1. 成果の評価:仕事の出来栄え、どれだけ頑張ったか、運も左右されます、明確にわかります。評価が悪くても「次頑張ろう」となります
  2. 行動の評価:どれだけ努力をしたか、運は関係ありません、明確にわかります。評価が悪くても、努力に関する評価であり、人格否定にはなりません
  3. 能力の評価:目に見えないものであり、明確にわかりません、可能性が評価されます。評価が悪いと、ともすると「人格否定」となりかねません

能力評価の場合、「自分の可能性が否定された」「自分自身が否定された」と思われがちで、防衛的になる被験者(受講者)も少なくありません。

したがって、能力評価の結果をフィードバックするときは、
1.評価のプロセスを開示すること
2.能力開発の方法を提案すること
この2つを同時に行う必要があります

マネジメント能力の分類 (さらに深く考える)

今までのことを整理します。

  1. 市場価値とは、専門能力(社会から求められている知識・技能)と汎用能力(どの会社でも通用する高度な能力から生まれるものと思います。
  2. ヒューマンアセスメントの場合、我々アセッサーは「専門能力」ではなく、「汎用能力」を評価しています。
  3. マネジメント能力は、は、「スキル(技術)」と「マインド(姿勢)」から構成されています。私は、技術を高めることを「成熟」、姿勢を磨くことを「成長」と分けて捉えています。

ここでは、さらに、「スキル」を2つ、「マインド」を2つに分けたいと思います。

  1. 実践的な能力:マネジメントの6つの機能を果たす能力
    主に頭を使うもの 変革創造・業務改善・組織運営
    主に体を使うもの 方向づけ・組織活性・人材育成
  2. 基礎的な能力:実践能力を構成する基礎となる能力
    思考能力 認識力・論理思考力・創造思考力・意思決定力
    対人能力 対人理解・多様性活用・表現力・関係構築
  3. 推進性:成果や成長への欲求、推進性
    挑戦性・主体性・不屈性
  4. 誠実性:組織人としての信頼性、自制心
    自律性・自制心・自己責任性

次回に向けて

今回は、前回とは違う観点から能力について解説を行い、専門能力×汎用能力という観点から人材価値の分類を行いました。

次回も引き続き能力評価に関する解説を行っていく予定です。