今回は、アセッサー養成講座の「能力評価編」第2回となります。まず「能力」の分類について解説を行い、その後「能力」を「スキル」と「マインド」に細分化し、それぞれについて解説を行っていきます。

能力の分類

専門能力と汎用能力(マネジメント能力)

能力は、大きく「専門能力」と「汎用能力」に分かれます。汎用能力は、一般に専門能力を活用して成果に結び付けていく能力であり、一般には「マネジメント能力」と言われています。従来は、資源を有効に活用して成果を導く「マネジメント能力」、変革を通じて組織を新たな方向へと導く「リーダーシップ能力」と分けて定義していましたが、最近では組織の責任者は双方ともに必要であることから、広義で「マネジメント能力」と捉えるようになりました。専門能力と汎用能力の関係を説明すると以下のようになるでしょう。

専門能力は良好であるがマネジメント能力は不良の場合

知っていること、経験したことはできるので、一定の成果はあがる。しかし、未経験の場面では戸惑ってしまったり、他者と協働して仕事を進められなかったりする。キャリア選択の幅が狭く、転職してもうまくいかない場合が多い。

マネジメント能力は良好であるが、専門能力は不良である場合

知識や経験がないので、すぐに成果はあげられない。転職したてや、配転したての人はこういった状態になる。しかし、時間の経過とともに頭角を表すことになる。キャリア選択の幅が広く、転職してもうまくいく場合が多い。

若いうちは、「専門能力」の習得に時間を注ぐのは当然のことですが、30歳を過ぎたら、「専門能力」「マネジメント能力」「マネジメント資質」をバランスよく開発していくことが大切です。特に、「マネジメント能力」「マネジメント資質」を高いレベルで保持していれば、どんな環境になっても、うまく適応していけます。ヒューマンアセスメントは、受講者に対し、今までいかに「専門能力」だけに頼って仕事をしてきたかを気づかせるきっかけにもなるのです。

マネジメント能力の分類

ヒューマンアセスメントの際、我々アセッサーは「専門能力」ではなく、「汎用能力」つまり「マネジメント能力」を評価しています。「専門能力」は現場では最も大切ですが、職位が上がってくとそれだけでは通用せず、異なった職種に異動した場合には「専門能力」だけでは通用しません。将来有望か、リーダーとして活躍できるか、経営幹部として会社を牽引できるか、などは「マネジメント能力」次第であるからです。

我々は、マネジメント能力を「狭義のマネジメント能力」と「マネジメント資質」に分けて捉えています。狭義のマネジメント能力は、思考能力と対人能力、いわゆる思考する技術、対人交流する技術(スキル)であり、「どれだけできるか」という技術スキルの水準を測定します。一方、マネジメント資質は、仕事に向かう姿勢(マインド)であり、そういった姿勢が「どれだけ強いか」という水準を測定します。ここで、一旦マネジメント能力を整理してみましょう。

マネジメント能力(スキル)

  • ビジョン構想力:将来を展望し、数年先の理想像(変革後の姿)を描写する力
  • 問題解決力:問題の形成要因を解明し、抜本的な解決を図る力
  • 業務遂行力:組織活動を設計、運営、統制する力
  • リーダーシップ:自分の思いを訴求し、組織を方向づけていく力
  • チームビルディング:チーム状態に応じた働きかけにより、組織を活性化させる力
  • 部下の育成指導:主体的に活動する部下を育成する力

マネジメント資質(マインド)

  • 成果に向かっていく姿勢 例)高業績志向性、執着不屈性、積極性、使命感、など
  • 公正に仕事を進める姿勢 例)誠実性、倫理観、正義感、自制心、など
  • 新しいものを作ろうとする姿勢 例)好奇心、挑戦心、独立心、未来志向性、など

レースに例えてみると、マネジメントスキルは「運転のテクニック」、成果に向かっていく姿勢は「エンジン性能」、公正に仕事を進める姿勢は「ルールを守るマインド」、新しいものを作ろうとする姿勢は「ビジネスに繋げていくマインド」ということになるでしょう。

スキルとマインドの違い

能力は、「スキル(技術)」と「マインド(姿勢)」から構成されています。私は、技術を高めることを「成熟」、姿勢を磨くことを「成長」と分けて捉えています。同じ仕事を毎日繰り返ししていれば、仕事で求められるスキルは高まり、成熟してきます。でも、資質が磨かれるとは限りません。

また、いくら技術を高レベルで保有していても、状況によっては発揮しないことがあります。発揮しても違った方向で発揮してしまうといったことも生じてきます。スキルとマインドの組み合わせによって、行動や成果は異なってきます。

スキルを十分に持っていても、マインドの部分が偏っていれば、良い行動、良い成果を導くことはできません。思考能力が抜群であっても、挑戦心がまったくなければ、妥当であるものの、平板な結論にとどまってしまいます。対人能力が抜群であっても、誠実性がまったくなければ、人を騙すことを平気でやってしまうため、人からの信頼を獲得することができません。

では、さらに詳しく能力特性について見てみます。人はそれぞれ能力の特性を有します。それが「個性」とも言えるのでしょうが、マネジメントを担うには、すなわち集団を未来に向けて率いていくには「バランス」が必要なのです。どれかが大きく欠けていては、マネジメントに支障をきたすことになります。

 AさんBさんCさんDさんEさんFさん
ビジョン構想力
問題解決力
業務遂行力
リーダーシップ
チームビルディング
育成指導
推進性
自律性
変革性
  • Aさん:安定・安全志向でお役人という感じの人です。問題の処理や人間関係で絶対に間違いは犯さない。でも、付加価値を生めない人です。
  • Bさん:起業家タイプの冒険家です。成功への意欲が抜群に高い、けれど失敗する確率も低くない。会社への忠誠度はあまり高くなく、個人の成功に関心が向いています。
  • Cさん:理論派でマイペースの人。あまり人と関わらない技術者や研究者に多いタイプです。「専門家」としての活躍が期待できますが、あまり大きな仕事は期待できません。
  • Dさん:バイタリティのある人で結果を残すタイプです。あまり考えずに行動したり、人の知恵を借りて行動したりすることが多いため、上に上げると結果が出せなくなります。
  • Eさん:やる気満々、人柄もいい。しかしスキルが過少なため、意欲と努力が空回りしてしまうタイプです。努力することが目的化しがちで、残業に歯止めがかかりません。
  • Fさん:一番の厄介者です。一定の能力は持っていますが、それが成果に向かいません。周囲を批判することに向いたり、自分を大きく見せることに使われます。

A~Fの人たちは、自分の能力特性を修正しようとしない限り、そのままのスタイルで働いていくでしょう。無意識のうちに自分で作ってきた「スタイル」にしたがって生きているのです。自分の人生脚本にしたがって生きているのです。

ヒューマンアセスメントとは、職業人生がより充実するように、よりレベルの高い成果が創出できるように、人生脚本を作り変える助けをするものです。

次回に向けて

今回は、「能力」の分類についてと「能力」を「スキル」と「マインド」に細分化し、それぞれについて解説を行いました。ヒューマンアセスメントの評価対象となる「マネジメント能力」と、それを更に細分化した「スキル」「マインド」について概要を理解いただけたかと思います。

次回も引き続き能力評価に関する解説を行っていく予定です。