アセッサー養成講座の「グループ討議編」第3回となります。

今回は、グループ討議編の総まとめと終了後のフィードバックについての解説を行っていきます。

グループ討議の評価まとめ

これまでの内容を以下に簡単にまとめてみます。

グループ討議という演習を使って評価することのメリット

5~6人程度の評価を60分程度で行えるので比較的簡単にできます。深い部分まではわかりませんが、大きく個人の特徴を見ることができます。

見たものがすべてでない

グループ討議で観察できたものが「その人のすべてではない」ことは肝に銘じてください。また、テーマによって、メンバーによって、受講者の行動は変わってきます。「不変のもの」と「可変のもの」を峻別していく必要があります。

言語以外のメッセージを受け取る

どうしてもしゃべっている人、発言内容にアセッサーの関心がいってしまいます。むしろ、発言していないときの行動に注目しないと、受講者の特性は見えてこないものです。また、「しゃべらない人=能力のない人」ではありません。「なぜ、しゃべらないのか」この要因を解明する必要があります。コミットメントが浅いと、自由に話すことができるものです。

一連の脈絡を受け取る

発言を単発でとらえるのでなく、流れ(STAR)でとらえるようにしてください。
(例)こういった状況の時、こういった発言をした、その結果、周りはこうなった。
また、発言のあとの「発言」「態度」に注目してください。1回1回の発言に責任を持っているか、言っていることが一貫しているか、ここをみてください。

個性を発揮する状況を作り出す

好ましくない場面が続いたら、介入して「場面(状況S)」を変えてください。介入後、どう変化したか、介入後の最初の行動は大切です。人の話を肯定的に受ける人、評価者のように権威ある人に従順な人、助言をしても変わらない人など、巣の自分が出やすくなります。

グループ討議終了後の振り返り

ヒューマンアセスメントでは、演習が終わったら演習を振り返り、自分の特性(長所・短所)に気づき、所定の能力の自己評価まで行います。自分で気づいたほうが「自己啓発」には有効です。「〇〇が足りないとつくづく思った」「人と比べてまったくできていなかった」という気付きを引き出すこともアセッサーの重要な仕事です。

VTRフィードバック

グループ討議のVTR振り返りは、決して簡単ではありません。VTRを見せれば、「気づいてくれる」というわけではありません。「髪の毛をいじっていましたね」といった表面的な気づきで終わってしまうのは、アセッサーの技術や熱意がないからです。まず、アセッサーが考えるべきことは、「個々人に何を気づかせるか」「どの場面を見せるか」「どういった質問で引き出すか」ということです。グループ討議のVTR振り返りの準備は、グループ討議の観察時から始まっているのです。討議を見ながら、「この人にここを気づいてもらおう」と言動記録にチェックを入れておく必要があります。グループ討議のVTRフィードバックの進め方は以下です。だいたい、60~80分かけて行います。

  1. 討議のテーマと討議の結論を確認する
  2. 時間があれば(各人に一言ずつ感想を言ってもらう)
  3. 見せたい場面のVTRを再生する(10~15分程度)
  4. 感想、そのときの心理状態、気づきを出し合う(講師はファシリテーターとなる)
  5. 上記の➂と➃を2~3回ほど繰り返す
  6. 講師はまとめをする

成功させるポイントは以下です。

準備をしっかりする

討議観察の段階から「気づかせること」「気づかせ方」を考えておきます。アセッサーが答えを持っていないと、「禅問答」になってしまうの注意してください。気づかなかったとしても強引なことをせず、最後のフィードバック面談で指摘します。

最も意識の高い受講者(受講者)を味方につける

上記②においてもっとも「向上心がありそうだ」「気づきが深そうだ」という者に注目します。皆が気づかなかったら、その者に振って「気づき」「反省点」を引き出します。講師が言うよりも、受講者同士で言い合った方が数倍効果があります。

質問の仕方を変える

もし受講者が気づかなかったら、質問を変えてみます。「~の面からみるとどうですか?」と角度を変えてみたり、「この場面では、心の中では何を思っていましたか?」と気づきを掘り下げてみてください。

気づくための「フレーム」を用意する

「気づき」とは、「何かとの差」を感じることにほかなりません。「リーダーはこういった行動が求められます」など、期待値を明示することが大切です。また、次のようなフレームで「自分はどの位置づけか」を考えてもらうことも有効です。

フレーム例1 集団の中における自分の立ち位置、役割は?

コミュニケーションスタイルと果たした役割

当事者、主導者、調整役、協力者、評論家、ご意見番、ムードメーカーなど

フレーム例2 異質の考えに対する態度は「肯定的」でしたか?

共創の意識

他人から学べましたか?「共創」の意識を持っていましたか?
共創、論争、迎合、妥協、抑圧など

フレーム例3 未経験・不透明の場面でのリーダーシップの発揮度合いは?

自分のリーダーシップの源泉は何ですか?
論理、知識、話術、情熱、勢い、人間性など

VTRの見せ方について

グループ討議のVTR振り返りを成功させるため、「VTRの見せ方」「気づかせ方」についてさらに掘り下げて説明します。

VTRを見せるとき、フォーカスすべき点を指摘する

「今回は〇〇に注目してビデオを見てください」など。そうすると、受講者の気づきのポイントやレイヤーが合います。 

1回目にVTRを見せるとき:「自分を客観視してみてください」
話し方 どんな発言が多かったですか? 話し方の特徴は?
聞き方 どういった態度で参加していましたか?

2回目にVTRを見せるとき:「今度は自分と集団との関係性を見てください」
集団の中での立ち位置は?
場がどんなときに発言していましたか?
発言後の集団の動きはどう変わりましたか?

3回目にVTRを見せるとき:「今度は集団の意思決定のプロセスを見てください」
誰の発言が有効でしたか?
誰が決めていましたか?
共創に向けて何が足りなかったですか?

気づかせ方の段階

まずは「オープンクエスチョン」で自由に答えてもらいます。的を射ないようであれば、「ポイントを絞った質問」で拡散を防止します。特に大切なことは、「心の中の動き」「頭の中の動き」を吐き出させることです。それでもダメなときは、「周囲のメンバーからの感想」をもらいます。きちんと言語化出来ていないときは、講師が言葉にまとめます。「ということは〇〇の傾向が強かったということですか?」など。

気づいてもらいたいことの例

  • 人の話を聞いていない、唐突に言いたいことを言っている
  • 好き勝手に話している、話が噛んでいない
  • ひとつの論点を詰め切っていない、だからどんどん論点が流れていく
  • 各自異なる意見を言っているのに、「最大公約数」を探そうとしてしまっている
  • 本当に議論すべき論点に時間が割かれていない
  • 「概念」の共有化ができておらず、各自の解釈がバラバラになっている

おわりに

今回で、全3回のアセッサー養成講座の「グループ討議編」が終了となります。次回は、一対一の「面談演習編」を執筆予定です。アセッサー養成講座へのご意見・ご感想、また、アセッサー養成に関するお問い合わせなどありましたら、お問い合わせフォームより是非ご連絡ください。