今回は、アセッサー養成講座の「能力開発編」第6回となります。前回に引き続き、エニアグラムを元に受講者のタイプ分けを行い、自己変革・成長の方向性を説明していきます。今回で、9種類のエニアグラム全ての紹介・解説が完了となります。

タイプ別、能力の特性や改善点

挑戦主義

  • 目指すもの:人の出来ないことをすること
  • こだわり:勇気を示す、こわがらないい
  • 成果へのエネルギー:大 冒険心が強い

挑戦主義の人は、「人がやらないことをやる」を第一義に据えて仕事にコミットメントしていきます。「開拓者になること」に価値を感じ、エネルギッシュに未知の分野を開拓していきます。プラス思考であり、「正解」「制約」などを気にせず、自由にアイデアを連発させていきます。困難な状況のときに存在感を発揮します。

反面、「リスク」には無防備となりがちで、乗りと勢いで突破を図っていきます。大きな成功を収めることができる気質を持ちますが、反面、失敗する可能性も大きくなります。冷静さを欠き、危うい判断に陥る時もあります。

思考パターン

論理性は高くないものの、直観、洞察に優れ、見えないものを見抜いていきます。プラス思考であり、「できない理由」は考えず、「できる方法」を考えます。「新しいことをやる」「いままでないものを見つける」ことに関心があり、未来志向を高く持っています。定型業務よりも企画業務・戦略業務に適した思考スタイルを持っています。

反面、当たりはずれが大きくなります。また、論理構築が苦手なため、作成する報告書には論理の飛躍があり、第三者からは理解しづらいものとなります。打ち出すアイデアの質的検証は後手に回ります。

対人交流パターン

標的を定めると、一気呵成に起動します。集団の最先端を走ります。集団では、率先自発的な行動が特徴的であり、確信的な言動で場を牽引していきます。自信に満ち溢れる行動が目立ち、思ったこと、感じたことを力強く発信していきます。

しかし、「直観」で結論付けていくため、「丁寧に説明する」ということは不得手です。そのため、周囲が十分に納得することなく、強引に場を運んでいくきらいがあります。パワーと強さがあり、頼もしいものの、「威圧感」が出てしまいがちです。まわりは萎縮してしまうことがあります。

挑戦主義の人は、新しいものの創造を求めてエネルギッシュに行動します。新たな価値を創造する力は十分にあります。しかし、説明力やサービス精神がなく、自分一人で突っ走り、周囲を置き去りにしてしまったり、周りの人を振り回してしまったりする恐れがあります。

挑戦主義の人の自己啓発のテーマは、「周囲と歩調を合わせて共創する」という姿勢の醸成にあると思います。私は、挑戦主義の人にこう提言します。

  1. できない人の気持ちを慮り、真の意味で強い人間になってほしい
    丁寧に、繰り返し、粘り強く、説明することを心掛けてほしい
    相手に同意や同調を求めすぎない、相手の価値観は変えられないことを肝に銘じる
    主張するだけでなく、チーム力を高めるための取り組みにも注力してほしい
    強行突破でなく、チームで一丸となって壁を突破してほしい
  2. 以下のテーマをもって自己変容していこう
    主張から共創へ:一方的に発信するのでなく、決定プロセスに周囲を巻き込み、一緒になって成果に向かう姿勢を強める
    多様性の活用:自分の考えだけで進めるのでなく、周囲の意見や期待に耳を傾ける。同志を集めるのでなく、子飼いを育てるのでなく、個性を引き出していく
    独善的判断や独善的な行動に注意:自分の直感や価値観で突っ走るため、客観性に欠けたり、説明性に欠けたりしがちです。「本当にそうか」と検証することも行ってください。

平和主義

  • 目指すもの:周りとの調和を図り、和やかな雰囲気を作ること
  • こだわり:もめ事やトラブルを避ける
  • 成果へのエネルギー:少 波風を立たせない

平和主義の人は、「チームの状態が良好であること」を第一義に据えて仕事にコミットメントしていきます。「協力」「協調」に価値を感じ、穏やかに成果を目指します。控え目で、自分のことは脇においても、「周りが上手くいけばそれでよし」として行動します。いかなる価値観や意見であっても、肯定的、公平に受け取ることが出来ます。自分の良くない状況に遭遇しても、周囲が上手くいっていれば辛抱強く我慢します。

反面、周りに合わせすぎ、自分の考えをいうことは滅多にありません。周囲に影響を与えようとする気概はなく、存在感は小さくなりがちです。「何が何でもやる」という強い意思は窺われません。

思考パターン

論理性は高くないものの、周囲の状況を客観的に観察しています。物事を正しく理解しますが、当面の「不具合」「トラブル」を防ぐための対策を優先しがちです。問題に遭遇すると、問題を深堀して再発防止、業務改善策を考案することよりも、当座策をきちんと打つことに重きが置かれます。企画業務・戦略業務よりも、定型業務に適した思考スタイルを持っています。

一方、ダイナミックな発想、大胆な意思決定は避けがちで、将来構想では、夢は広がらず、きわめて現実的な構想にとどまります。

対人交流パターン

争いごとを好まず、周囲に協調、同調します。どんな価値観や意見であっても、肯定的に受け取ることが出来ます。いつもゆったりとしており、「攻撃してこない」という安心感があります。そのため、誰とでも良好な関係を築くことができます。

反面、リーダーシップがありません。いつも「聞き役」にまわるため、発信が少なくなっています。まわりからすると、「何を考えているのだろうか」という疑問が沸きます。良好な関係を作れるものの、自己開示が少ないため、相手と深い絆を結ぶことはできません。

平和主義の人は、「チームの状態が良好であること」を第一義に据えて行動します。トラブルや争いごとを起こすことを極力回避します。平和的な関係を気づくことが出来ますが、集団成果に強い影響を与えることが出来ません。

平和主義の人の自己啓発のテーマは、「自分の気持ちや考えを率直に発信する」姿勢の醸成にあると思います。私は、平和主義の人にこう提言します。

  1. 遠慮せず、包み隠さず、勇気をもって本音や本心を語る人間になってほしい
    「私は…」といった自分を主語にした意見を述べてほしい
    「客観的情報」でなく、「主観的意見」を出してほしい
    人よりも早く反応し、リアクションを返してほしい
  2. 以下のテーマをもって自己変容していこう
    怒りを覚える:「これはおかしい」「このままではいけない」「それは間違っている」「こうすべきだ」といった怒りを抑えず、言葉で発信してほしい。「怒り」は強いエネルギーを発散します。自分の能動的な行動を助けます。
    自分のスタイルを崩す:安定的な環境に身を置きすぎているため、自己変革が起きません。自分から刺激を求めて行動すると良いと思います。不安定な状況に自分を置くことで、潜在する意識や能力が表出してくるものと思います。

次回に向けて

今回は、挑戦主義、平和主義の人の能力特性と自己変容のテーマについての解説を行いました。次回からは、具体的な行動、具体的な文章から、どう解釈し、どう推論し、その人の人物像を解明していくかについて説明していこうと思います。

例えば、
例題1:こういうクレームが起きたとき、あなたはどう考え、どう行動しますか

  • A君の答え  
  • B君の答え
  • C君の答え
  • D君の答え

解説:

  • A君の文章の特徴、考え方や判断の特徴から、こういった人物であることが仮定される
  • B君の答えの特徴、考え方や判断の特徴から、こういった人物であることが仮定される
  • C君の答えの特徴、考え方や判断の特徴から、こういった人物であることが仮定される
  • D君の答えの特徴、考え方や判断の特徴から、こういった人物であることが仮定される

このような形で解説を行っていく予定です。